
厳しい数年間を経て、モバイルゲーム業界は回復し始め、2024年にはアプリ内課金(IAP)収益、プレイ時間、セッション数1がいずれも増加するなど、着実な成長を続けています。パブリッシャーが業界の課題に対応し続ける中、いくつかのトレンドが人気を集めつつあり、イノベーションを促進し、プレイヤーのエンゲージメントを高め、収益を増加させるための新たなアプローチが形成されています。
2024年、当社はモバイルゲーム業界の今後の展開について予測を立てましたが、その多くのトレンドは2025年にも継続しています。年が始まってから時間が経ち、ようやく今、業界の未来を形作る主なアプローチが明らかになってきています。
業界を揺るがし、パブリッシャーのビジネス戦略に新たな視点をもたらすモバイルゲーム業界の7つの主要トレンドをご紹介します。

最近の規制緩和によりAppleやGoogleといった巨大アプリストアの影響力が弱まり、代替アプリストアや直販(Direct-To-Consumer)のウェブショップの人気が高まっています。Apple・Googleのプラットフォームでアプリを掲載するには、30%もの高額な手数料2 が発生します。そのためパブリッシャー自身がアプリやIAP、プレイヤーへの報酬を管理するために、新たなチャネルを活用し始めているのは自然な流れと言えるでしょう。
従来のアプリストアの厳しい規制と高額な手数料を回避するため、近年では多くの代替チャネルが人気を集めています。その先陣を切るのがEpic Gamesで、同社はAndroid(全世界)およびiOS(EU)で独自のアプリストアを運営し、FortniteやFall Guysなどの人気タイトルを提供しています。月間アクティブユーザーは約6,700万人3、プラットフォームには4,000以上のアプリが掲載されており、Epicは他の多くの代替アプリストアにも自社ゲームを公開しています。こうした取り組みによって、パブリッシャーはAppleやGoogleの独占的な支配に頼ることなく、新たな収益手段の拡大を目指しています。
代替アプリストア分野における主なプレイヤーとは?
👀関連記事:独占を越えて:モバイルゲームパブリッシャーはいかにして代替アプリストアや配信チャネルに進出しているか
従来のアプリストアが持つ厳しい規制に対抗する形で、直販ウェブショップも同様に人気を高めています。最近のEpic Games対Apple5の判決により、Appleがサードパーティのウェブショップで販売手数料を取ることを禁じる新たな法律が成立しました。この判決は、モバイルゲームの収益化手段として直販ショップを実行可能な選択肢として促進する重要な一歩となりました。パブリッシャーが報復措置を恐れることなく自分たちのプラットフォームにトラフィックを誘導できるようになった今、このアプローチは今後ますます人気になるでしょう。
データで見る直販ウェブショップ人気上昇の背景:
👀関連記事:ウェブに向けた競争:DTC(直販)型ショップはモバイルゲームの収益化をどう変えるのか
2021年に始まったトレンドが2025年に入っても続き、ハイブリッドカジュアルゲームは、人気とモバイルゲーム市場シェアの両面でトップの座を占めています。ハイブリッドカジュアルゲームは、一世を風靡したハイパーカジュアルゲームを追い抜き、モバイルゲーム市場の回復という追い風も受けています。長時間のプレイ、ダウンロード数の増加、ユニークな収益化アプローチによる高いIAPという成果を上げています。
ハイパーカジュアルゲームのシンプルなゲームプレイデザインと、ミッドコアタイトルの進行・収益化システムを組み合わせたハイブリッドカジュアルモデルは、世界中のモバイルゲーマーに広く支持され、その人気に衰える兆しは見られません。実際、2024年にはハイブリッドカジュアルタイトルのダウンロード数が前年比3.4%8増加し、IAPによる収益は前年比37%の成長を記録しました。
ハイパーカジュアルゲームと比べて開発期間がやや長いものの、ハイブリッドモデルはより複雑なゲームシステムやIAPオファー、継続的なLiveOpsサポートにより、プレイヤーのリテンションにおいてはるかに優れています。このアプローチにより、パブリッシャーはプレイしやすいゲームのシンプルさを生かしながら、魅力的な進行メカニクスを取り入れることができます。
ハイブリッドカジュアルゲームが近年トップを維持している理由は以下の通り:
人工知能(AI)は、モバイルゲームのあらゆる側面で継続的に活用されています。広告のクリエイティブやデザインから、発売後の分析に至るまで、AIはゲーム業界に大きな影響を与えています。ChatGPTやTableau Pulse、Googleの最新AI「Veo 3」などのプラットフォームが業界に革命をもたらし、開発会社やパブリッシャーにとって強力なツールとなっています。
AIがモバイルゲーム業界にもたらす主要な強みの一つは、パーソナライゼーションを次のレベルに引き上げる能力です。パーソナライゼーションはユーザー体験において非常に重要な要素であり、AIの力によって、難易度の調整、ゲーム内の限定オファー、継続的なゲームバランス調整などを行い、プレイヤーとより深いつながりを築くことができます。
Mistplayでは、機械学習AIを使ってユーザーの行動に合わせてユーザージャーニーをカスタマイズし、ユーザー体験をパーソナライズしています。データ分析および実験担当マネージャーのダンカン・ワン氏はこう述べています:

「私たちはコンテクスト・バンディットアルゴリズムを使用して、適切なタイミングで適切なユーザーに適切なタスクを割り当てるインタラクティブな学習システムを作り出しています。私たちのアルゴリズムは、インストール、プレイ、課金タスクをユーザーに提示し、その反応を学習し続けます。タスクの種類や報酬の量を決定するプロセスを自動化し、タスクのエンゲージメントを高めるとともに、アプリにおける各ユーザー体験をパーソナライズしています。」
AIは多くの魅力的な機会を業界にもたらす一方で、批判もあります。
最近、Duolingoの新しい「AIファースト」アプローチを巡って議論が巻き起こりました。新しいレッスンや学習資料の作成を含む複数のタスクに関して、人間の仕事をAIに置き換える意向を表明したのです。この発表に対し、AIツールの過剰利用によって人間の労働力が取って代わられることへの反発が即座に起こりました。この反発を受け、DuolingoのCEOルイス・フォン・アン氏は初期の発言を撤回し、説明を試みました。
この一連の騒動は、多くの人が職場におけるAI活用に対して抱く否定的な意見や、AIが経験豊富な従業員に取って代わるのではないか、という懸念の高まりを示しています。AIは非常に効果的なツールである一方、人間の仕事を補完するために使われるべきであり、置き換えるためのものではありません。企業は、注意深くバランスを保つことが重要です。
AIはモバイルゲーム業界でどれほど人気があるのか、数字でご確認ください:
👀関連記事:AIの覚醒:人工知能はいかにしてモバイルゲームに革命をもたらすか
IPコラボレーションはビデオゲーム業界で長年続くトレンドで、モバイルゲームやコンソールゲームの両方で、有名なIPとのコラボレーションが広く行われています。コラボレーションにより、パブリッシャーはより広いユーザー層へリーチを拡大し、ゲームメカニクスを追加し、アプリ内課金の新たな機会を創出することができます。有意義かつ収益性の高い戦略、と呼べるでしょう。
Scopelyの大ヒットゲーム「Monopoly GO!」は、IPコラボレーションにおける突出した成功例です。人気のHasbroのボードゲームフランチャイズをベースにしており、MarvelやStar WarsなどのIPとコラボして、愛されるキャラクターやゲームプレイの要素をMonopolyのゲーム体験に取り入れています。このコラボレーションにより、モバイルゲームの記録を塗り替え、2025年には「Monopoly GO!」が50億米ドル以上の売上14を突破。どのモバイルゲームよりも早く、このマイルストーンを達成しました。
人気のあるフランチャイズとのコラボレーションは業界でますます一般的15、になってきています。コンソールゲームではIPコラボの割合が41%にとどまっているのに対し、モバイルゲームでは約71%がIPコラボを行っています。こういったコラボレーションはダウンロード数にも好影響を与え、ゲーマーの20%以上がIPブランドを使用したゲームの方がダウンロードしやすくなるという結果を生んでいます。また、ゲーム内コラボに参加したユーザーの54%がアプリ内課金を行うなど、IAPも促進しています。
モバイルゲームでIPコラボキャンペーンの導入を検討していますか?以下の成功事例16もご参照ください。
Topwar と Pacific Rim
Dragonheir + Dungeons と Dragons
Miniworld + Transformers と My Little Pony
👀関連記事:世界が衝突する場所:モバイルゲームにおけるブランドとIPのコラボレーションがもたらすLTVの牽引力
2025年、世界のゲーム経済圏では、新たな地域が存在感を強めるトレンドが続いています。開発面で注目すべきはトルコで、UKに次いでEMEAで2番目に大きなモバイルゲーム市場17へと成長しました。才能ある開発者が豊富におり、利益を上げるスタジオも多く、継続的に世界からの投資が集まるトルコは、モバイルゲーム業界の先駆者的存在となっています。
トルコのモバイルゲームに関する主要な統計データは以下の通り:
APACにおいては、パブリッシャーにとって有望な市場としてベトナムが着実に成長しています。2025年にはモバイルゲームの収益が4億5,394万米ドル19に達すると予測されています。若い人口、高速インターネットの普及、スマートフォンの使用増加により、ベトナムのモバイルゲーム市場は2025年から2030年の間に年平均成長率11.48%を記録する見込みです。これらの要因が成長を後押ししているベトナムには、2025年以降も注目すべきでしょう。
ベトナムでのモバイルゲームのブームを引き起こした要因は以下の通り:
ユーザー獲得コストの増加21がモバイルゲーム業界にとって脅威となっている今、CPIを管理し、競争力を維持するために、新たに費用対効果の高いマーケティング方法が求められています。そこで、今年注目を集めている戦略の一つが「Web2App」です。従来のユーザー獲得チャネルを超えて、パブリッシャーにより柔軟な可能性を提供します。
Web2App獲得戦略は、オンラインランディングページにトラフィックを誘導し、ユーザーにアプリストアへのリダイレクトを促す仕組みです。ランディングページは、シンプルなものから、より複雑なオンボーディング体験が含まれるものまでさまざまです。2024年12月時点で、Web2App獲得戦略へのユーザー獲得支出は全体の34%に急増し、年初から54%の増加を記録しました。
この新しいアプローチには、いくつかの利点があります:
%20(1).avif)
「Web2Appは、ほとんどのモバイルマーケターにとって活用されていないチャネルです。特にYouTubeでの動画キャンペーンを活用すれば、ブランドは高価値のオーディエンスに、自然かつ魅力的な方法でリーチできます。アメリカではインターネットユーザーの60%以上が毎日YouTubeにアクセスしているため、YouTubeでのWeb2Appキャンペーンは、最も価値の高いユーザー層を見つけるために有効な手段です。Web2Appは、ほとんどのブランドにとって、量と質の両方を向上させる優れたチャネルです。」
– ノア・ガッターマン/Mistplay ユーザー獲得VP
クラウドゲーミングがプラットフォームを問わず高品質なゲーム体験が楽しめる新たな時代を切り拓き、プレイヤーは、どこからでもプレミアムなタイトルを楽しめるようになりました。これは、ゲームをリモートサーバーでホストし、ユーザーのデバイスにストリーミングすることで実現されています。従来は対応していなかったプラットフォームでもお気に入りのゲームをプレイ可能にしています。
このコンテンツ配信方法により、モバイルデバイスでより高度な技術とグラフィックを備えたゲームがプレイ可能になり、パブリッシャーのリーチを拡大するとともに、従来のコンソールを好むプレイヤーにもモバイルゲームの魅力を伝えています。実際、スマートフォンは現在、クラウドゲーミングの市場シェアで37.7%24を占めています。モバイルゲーム開発者は、モバイルデバイスのハードウェア制限を克服し、大手ゲームスタジオに匹敵するようなゲームを作成する機会を得ています。こういった流れは業界における影響力を拡大し、イノベーションを促進する鍵となるでしょう。
MicrosoftのXbox Cloud GamingやNvidiaのGeForce NOWなどのプラットフォームは、クラウドゲーミングの最前線に立っています。お気に入りのゲームをストリーミングするプレイヤー向けに階層型のサブスクリプションサービスを採用し、上位プランでは、より長いプレイ時間、より高いストリーミング解像度、さらには多くの無料ゲームといった特典を提供しています。大手企業が先導することで、このストリーミング方式は人気を集めており、現在その市場規模は93億2千万米ドルと評価されています23。さらに、2032年には1,592億4千万米ドルに達すると予測されています。
2025年のクラウドゲーミングに関する統計は以下の通りです:
*データ参照:2025年1月のMistplayによるモバイルゲーマー調査
今年、モバイルゲーム業界では大きな変化が起こっています。パブリッシャーによるユーザー獲得、リテンション、収益化の新たな戦略が生まれている一方で、実績のある従来のアプローチも、2025年の成長を引き続き後押ししています。業界は厳しい数年間を乗り越え、明るい未来に向かって進んでいることは明確です。
最新のモバイルゲーム市場のトレンドを知りたいですか?毎月のルートボックス通信(サイドバーにあります!)を購読し、LinkedInで当社をフォローして、業界の最新ニュースやインサイト、開発情報をチェックしてください。
参考文献: