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購読するモバイルアプリを効果的に収益化するのは簡単ではありません。アプリのポテンシャルを最大限に引き出すには、複数のマネタイズ手法を組み合わせた多角的な戦略が必要です。パブリッシャーが最もよく採用している手法のひとつがアプリ内課金(IAP)であり、フリーミアムモデルの普及とともに急速に成長してきました。
2009年にアプリ内課金が導入されて以降、IAPはモバイル領域における主要なマネタイズモデルのひとつへと成長しました。2025年時点では、モバイルアプリにおける全収益の約半分(48%)1がIAPによって生み出されています。さらに、年平均成長率(CAGR)は22.3%に達しており、市場規模は年末までに2,558億4,000万ドルに達すると予測されています。1
では、なぜこれほど多くのパブリッシャーが自社アプリにIAPを導入しているのでしょうか?IAPについて、深く掘り下げていきましょう。IAPの種類やモバイル業界における幅広い事例、アプリにIAP戦略を導入する際の実践的なヒントまで、解説します。
*本記事に記述されているドルは、すべて米ドルを指します。
アプリ内課金とは、アプリ内で購入できるデジタル商品、サービス、またはサブスクリプションに対する課金を指します。消耗型アイテムの購入、新しいコンテンツへのアクセス、さらには広告を非表示にするための課金など、その形態はさまざまです。
IAPはアプリのマネタイズ手法として広く使われており、ゲーム以外のアプリでも約50%、ゲームアプリでは約79%2がIAPを導入しています。IAPの人気が高い理由の一つは、その収益性の高さにあります。IAPを利用するのはアプリユーザー全体のうちわずか5~6%3ではあるものの、その少数ユーザーによる課金額は高い傾向にあるため、パブリッシャーにとって収益性の高い戦略となっています。
ただし、全体のIAP収益のうちパブリッシャーが実際に得られるのは70%のみで、残りの30%はアプリストア側に差し引かれます。これを受け、より高い収益率を確保できる代替手段として、パブリッシャーがIAP収益のより大きな割合を確保できる直販型の(DTC: Direct-to-Consumer)ECサイトが注目を集めています。
IAPは、モバイルパブリッシャーにとって主要なマネタイズモデルのひとつであり、多くの場合はアプリ内広告(IAA)など他の手法と併用されています。こうした戦略によって、アプリの利用自体は無料のフリーミアムモデルを維持しつつ、ユーザーがアプリをインストールした後に収益を生み出すことが可能になります。
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アプリ内課金にはさまざまな形態がありますが、大きく分けると「消耗型課金」「買い切り型課金」「サブスクリプション型課金」の3つに分類されます。
消耗型課金は、アプリ内で購入できるアイテムや特典、ボーナスのことで、使用回数が限られており、使い切ると再購入が必要になります。ユーザーに一時的な優位性や進行のスピードアップを提供することで、繰り返しの課金を促すことができます。消耗型課金は幅広いアプリジャンルで多様な活用方法があるため、パブリッシャーにとって汎用性が高く収益性の高い選択肢です。
例: コミックアプリ「Webtoon」では、IAPで購入したコインを新しいチャプターや全話バンドル、最新リリースへの先行アクセスなどに利用できる。
例:ストリーミングアプリ「Apple TV+」では、映画を48時間レンタルでき、その間は何度でも視聴可能。
例:語学学習アプリ「Duolingo」では、レッスンに合格できずライフが尽きた際に、追加ライフに課金をして、回復待ち時間をスキップできる。
買い切り型課金では、ユーザーは1回の課金で機能を無期限で使い続けることができます。このタイプの課金はユーザーアカウントに紐づけられ、異なるデバイス間でも引き継ぎが可能で、アプリを削除しても再ダウンロードすることで復元できます。
買い切り課金の場合、購入後は有効期限なしで使い続けることができるため、消耗型の課金アイテムよりも価格は高く設定されることが一般的です。
買い切り課金の例には、以下のようなものがあります:
サブスクリプション型課金では、ユーザーが繰り返し課金することで、課金している期間中に特典や新機能を利用することができます。支払いは通常、月または年単位で行われ、ユーザーがサブスクリプションを解約すると、プレミアム機能の利用はできなくなります。
近年、モバイルゲームやフィットネスといった多様なジャンルのアプリでサブスクリプション型課金の人気が高まり、サブスクリプションに応じたプレミアム機能を提供しています。音楽ストリーミングアプリのSpotifyは基本フリーミアムモデルで、広告付きで限定的な機能を使える無料プランと、すべての機能を利用できるサブスクリプションプランを選ぶことができます。
💡ベストプラクティス:サブスクリプションを一定期間無料で試せるようにすることで、ユーザーの興味を引き、コンバージョン率を高めることができます。
アプリ内課金は、モバイル業界のあらゆる場面で活用されており、それぞれのアプリジャンルに適したIAPのタイプが存在します。アプリの構造や仕組み、エンゲージメント導線に応じて、より効果的なIAPの形式は異なります。
以下に、5つの異なるジャンルのアプリ内課金の導入例を紹介します。各アプリはそれぞれ、中核となる機能と連携するIAP戦略を採用しています。
📱ジャンル:ゲーム
💳IAPのタイプ:消耗型
🔎概要:Candy Crush Sagaは、King社が開発した人気のマッチ3系モバイルゲームです。2024年時点4で月間アクティブユーザー数は約1億8,000万人、累計ダウンロード数は36億回を超えています。ユーザーのゲーム進行を後押しし、エンゲージメントを維持するために、さまざまなアプリ内課金が用意されています。たとえば「ライフ」の追加、難しいステージを突破するためのブースト、追加ブーストを購入するための仮想通貨「ゴールドバー」などがあります。
📈主なデータ:
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📱 ジャンル:健康&フィットネス
💳 IAPのタイプ:サブスクリプション型、買い切り型
🔎概要:Calmは、瞑想およびウェルネス分野を代表するモバイルアプリです。ユーザーはガイド付きの瞑想やナレーション付きのスリープストーリー、複数日間のウェルネスプログラムなどを体験できます。IAPとしては、年額69.99ドルのサブスクリプション、または全機能を利用できる399.99ドル(サブスクリプション約5.7年分に相当)の買い切り型課金の2種類があります。
中・長期的にアプリを利用したいユーザーは、この2つのIAPを選択することで、繰り返しサブスクリプション料金を支払う手間がなくなります。サブスクリプション型・買い切り型いずれの場合も、同じ機能を利用することができます。
📈主なデータ:
📱ジャンル:動画配信
💳 IAPのタイプ:サブスクリプション型、消耗型、買い切り型
🔎 概要:YouTubeのサブスクリプション「YouTube Premium」には、個人(13.99ドル)、ファミリー(22.99ドル)、学生(7.99ドル)の3種類の月額プランがあります。Premiumに加入すると、YouTubeとYouTube Musicを広告なしで再生できるほか、動画のダウンロードとオフライン再生、さらにスマートフォン使用中に動画をバックグラウンド再生できる機能が利用可能になります。
YouTube Premiumに加えて、ユーザーは映画や番組のレンタルや購入をすることもできます。レンタルの場合、視聴開始までの有効期限は30日間で、視聴開始後は最大48時間まで、何度でも再生できます。
📈主なデータ:
📱ジャンル:SNS
💳IAPのタイプ:消耗型
🔎 概要:ソーシャルメディア大手のTikTokでは、アプリ内でコインを使ってさまざまなアイテムを購入できます。コインは主にライブ配信者への投げ銭や投稿のプロモーションに使われますが、TikTok Shopと呼ばれるオンラインショップでは、自身の商品を販売・宣伝することもできます。
ユーザーがライブ配信者に投げ銭をしたい場合、TikTokコインでギフトを購入します。配信者がギフトを受け取ると、その50%相当の価値にあたる「ダイヤモンド」がTikTokから付与されます。配信者は、このダイヤモンドを現金に換金することも可能です。
📈主なデータ:
📱 ジャンル:マッチング
💳 IAPのタイプ:サブスクリプション型、消耗型
🔎 概要:Bumbleは、アプリ内課金が可能な人気のマッチングアプリのひとつです。ユーザーはBumble Premium(または上位プランのPremium+)に加入することで、スワイプ無制限、プロフィールを「いいね」した相手の確認、詳細な検索フィルターなどの機能を利用できるようになります。
サブスクリプションに登録せず追加の機能を利用したいユーザー向けに、個別の消耗型IAPも用意されています。たとえば、プロフィールの表示優先度を一時的に上げる「スポットライト」や、マッチ候補のフィード上部に表示される「スーパースワイプ」などがあります。これらのブースト系アイテムは、単発あるいは5回・15回・30回分のバンドルで購入が可能です。
📈主なデータ:
直販型のECサイトは、近年急速に注目を集めているマネタイズ手法で、多くのアプリパブリッシャーが導入を進めています。これらのECサイトはアプリ外部のマーケットプレイスとして機能し、ユーザーはアプリ内ではなくパブリッシャーの自社サイトで直接購入します。こうすることで、モバイルアプリのパブリッシャー側にさまざまなメリットが生まれます。
たとえば、ユーザーを直販型ECサイトへ誘導することで、アプリストア大手(AppleやGoogleなど)に支払う高額な手数料を回避できます。両ストアとも、IAP収益から30%18を手数料として差し引く仕組みですが、直販型ECサイトを利用すれば、パブリッシャーはより多くの収益を手元に残すことができます。
利益率やLTVの向上に加え、直販型ECサイトでは、パブリッシャーとユーザーの関係性をより密なものにできる、という利点があります。こうした関係性の強化により、パーソナライズしたオファーを定期的にユーザーに案内することで、再訪率やリテンションの向上に繋げることができます。また、リピーターの平均課金額は新規ユーザーよりも67%以上19も増加する傾向があるため、収益の大幅な向上が期待できます。
👀関連記事: ウェブに向けた競争:DTC(直販)型ショップはモバイルゲームの収益化をどう変えるのか
アプリ内課金の価格設定には慎重な検討が必要です。骨太なIAP収益化戦略を構築する際には多くの検討要素があるため、自社のユーザーに適したIAPの種類と価格帯を設定することは、非常に重要です。
選択肢が多い中で、自社アプリに最適なアプリ内課金を選ぶことが重要です。たとえばモバイルゲームのパブリッシャーの場合、ユーザーは難易度の高いステージをクリアしゲームを進行させるために、一時的なブーストや追加ライフに課金する傾向があるため、消耗型課金が適しているかもしれません。一方で動画配信サービスの場合、ユーザーが中断なくコンテンツを楽しめるように、広告の非表示に対して「買い切り型課金」を提供する傾向があります。
多くのパブリッシャーは、複数のアプリ内課金を組み合わせてユーザーに幅広い選択肢を提供しています。選択肢を多様化することで課金の機会も広がり、ユーザーは自分にとって最も価値のあるオプションを選びやすくなります。
💡ポイント:競合他社の類似アプリが提供しているアプリ内課金の内容を確認することで、自社アプリのジャンルで一般的な課金タイプを知る手がかりになります。
アプリ内課金の価格を決めるうえで、競合アプリの価格調査は有効です。類似アプリが提示している価格帯をデータとして収集・分析することで、ユーザーが一般的にどの程度の金額を課金する傾向にあるか、知ることができます。自社アプリの価格設定にあたっては、競合と同水準に設定することもできますし、より高い価値をアピールするために高めに設定したり、逆に価格を下げて競争力を高めることもできます。
モバイルアプリ業界レポートを活用し、業界内で一般的とされる価格帯をリサーチするのも一つの方法です。価格を高く設定しすぎると多くの潜在的な課金ユーザーにとって手が届きにくくなりますが、逆に低すぎると収益に悪影響を及ぼす可能性があります。Unityの業界レポート「2023 Mobile Growth and Monetization report」20によると、初回課金のコンバージョンが最も高くなる価格帯は1.01〜5.00ドルとされています。幅広いユーザーにとって魅力的で現実的な価格帯であり、最初にアプリ内課金の価格を決める際の目安になります。
アプリ内課金の価格を検討するうえで、ユーザーが実際にどの程度の金額を課金する意思があるかを把握することは非常に重要です。月に1回以上課金する人は、iOSユーザーのうちわずか7.1%、Androidでは4.6%2にとどまることから、できるだけ多くのユーザーにとって手が届く価格に設定することが欠かせません。
多くのユーザーの課金額は少なく、ユーザー1人のアプリ1本あたりの平均課金額は、iOSで1.08ドル、Androidで0.43ドル2です。ユーザーが金額に対して十分な価値があると感じることができれば特に、低価格のIAPを用意することで、ユーザーの課金を促すことができるでしょう。
ユーザーの課金傾向や利用パターン、ニーズや願望を分析することで、提供する内容をパーソナライズすることもできるようになります。当社の2024年版モバイルゲーム課金ユーザーについてのレポートによると、モバイルゲーマーの約40%が「提示内容がパーソナライズされていると、より多く課金したいと感じる」と回答しています。
アプリ内課金の価格設定は継続的なプロセスで、A/Bテストを実施し、何が有効か、有効ではないのかを見極めていくことができます。異なる価格帯を試したり、アイテムをバンドルにして販売してみたりすることで、ユーザーがどのような内容に課金したいと感じるのか、どこに価値を見出すのか、最も投資対効果(ROI)が高いものは何か、といった知見を得ることができます。
IAPをどこで表示するか、その表示場所をテストすることも、戦略をブラッシュアップする上で重要です。レッスン終了後やワークアウトの合間、難易度の高いステージをクリアできなかった直後など、アプリの導線上には課金しやすくなる特定のポイントがあります。こうしたチェックポイントでIAPを提示することで、ユーザーを課金ユーザーへと転換できる可能性が高まります。
モバイルアプリで成功するアプリ内課金戦略を適切に構築できれば、大きな収益源になります。もともと課金に踏み切るユーザーは一部に限られているため、提示する内容をユーザーの期待値に合わせることが重要です。
自社アプリにIAPを導入する際に考慮すべきポイントをいくつかご紹介します:
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参考文献: